京都市東山区に生まれた日本画家・三輪良平(1929~2011)は、山口華楊に師事したのち、若手の画家たちと研究会「あすなろ」を結成して画業の研鑽を積みました。昭和35年(1960)に現代的な感性で舞妓を描いた「舞妓」が第3回新日展の特選・白寿賞に入選したほか、本作のような舞妓の絵を多く残しています。京都出身の三輪にとって、舞妓は観光客が抱くような興味関心や憧憬の対象ではなく、非常に身近な存在だったのでしょう。三輪は画作において追究した清麗な女性美は、舞妓や大原女といった京都とゆかりのある女性たちの中に見出されたのかもしれません。
本作にはきらびやかな振袖と花かんざしを身に着けた2人の舞妓の胸から上が描かれ、2人は何かを見つめています。その眼差しの先にあるものは何か、想像力がかき立てられます。金地の背景に引き立てられた着物や帯の柄と色づかいも見どころで、きらびやかでありながら静謐な雰囲気が漂う一作です。
紙本彩色 日本画 額装
絵寸 44.5cm×59.5cm 署名・落款
額寸 66.0cm×81.5cm×5.5cm 裏側にシール「舞妓 良平(印) 京都物部画仙堂」
化粧箱 7.0cm×67.5cm×83.5cm